研究成果 - 論文 -

介護予防給付の導入が要支援者の要介護状態の変化に与える影響

ノンテクニカルサマリー

 本分析では,2003 年4 月から2009 年10 月における福井県下全17 市町の介護保険給付費レセプトデータを用いて,2005 年度の介護保険制度改革で導入された予防給付が,軽度の要介護者の要介護状態にどのような影響を与えたのかを検証した。

 予防給付の導入前後において,初回の要介護認定時に要支援(要支援1)の認定を受けた人々に占める各月(経過月数)時点の要支援者の比率の推移を比較したところ,要介護認定15 か月後に,導入後の同割合は導入前の割合を上回り,その後は徐々にその差が拡大している様子が観察された(図1)。また,性別や年齢階層によっても予防給付の効果や要介護度の悪化にかかる期間が異なる様子も観察された。

 加えて,Ordered Probit モデルによる計量経済分析を行った結果,予防給付の導入が軽度要介護者の要介護状態の悪化を抑制する効果があることを示唆する結果が得られた。具体的には,介護予防給付を受けている者は,そうでないものに比べて,要支援1 にとどまる確率が9.9%ポイント有意に高く,要支援2 以上に悪化する確率が1.9~3.8%ポイント有意に低いことが分かった。

論文

「介護予防給付の導入が要支援者の要介護状態の変化に与える影響」(PDF file/約0KB)

湯田道生・岩本康志・鈴木亘・両角良子
2011年度 日本経済学会秋季大会,2011年10月29日-30日