研究内容

研究の進捗状況

2009年度

 初年度は、主にデータベースの構築と自記式質問紙調査の実施を中心に作業を行った。

 まず、医療保険・介護保険・特定健診等の情報を個人間で接合した総合的パネルデータを構築した。具体的には、国保連が保有している医療保険・介護保険の過去5年間に亘る個人単位の月次データからパネルデータを作成し、国保連が把握している個人IDによって両者を接合した。さらに、本年から始まっている特定健診の情報も、同様の個人IDを用いて接合し、総合的パネルデータを構築した。

 2つのデータベース作成後、解析作業が容易な各保険者の医療費予測、介護費予測、保険財政予測を行った。具体的には、個人単位に基づく情報から正確に予測した保険料予測・財政収支予測、高額医療費、終末期医療費の発生状況などを分析した。 また、福井県の5町で、約6千人の前期高齢者を対象に、郵送自記式質問紙調査を実施した。この質問紙調査データは、医療保険・特定健診のデータと接合される。

2010年度

 総合的データベースに、前年度のデータを追加し、具体的な政策評価作業に着手した。医療・介護保険料上昇を抑えるための政策的余地(医療・診療内容の標準化、医療の地域差縮小による医療費適正化、介護施設整備による社会的入院の医療費抑制)を探る為の基礎的作業として、医療費・介護費や両施策間の相関関係、資源消費の集中度・持続性を分析した。また、医療費・介護費をトータルにみた場合に効率的な政策ミックスについて探索した。更に特定健診・医療保険データに基づき、健康度および健康度と医療費の関係について分析を深めた。

 また、質問紙調査と医療保険・特定健診を接合したデータの分析を進め、一次・二次予防が医療費とQOL・生きがい感に与える影響を明らかにする。

レセプトデータ利用での個人情報保護