研究成果 - 論文 -

レセプトデータを用いた医療費・介護費の分布特性に関する分析

研究目的・方法・結果概要

(1)研究目的

 本研究の目的は、福井県において収集した医療費と介護費のレセプトデータを用いて、医療費と介護費の分布特性を調べ、それぞれ、あるいは両者を合わせた結合分布についての基礎的な知見を得ることである。

(2)研究方法

 2003年から2007年までの5カ年分の医療費、介護費レセプトデータを個人間でマッチングし、それを年次データに集計した上で、医療費、介護費の集中状況、相関関係、集中の持続性などの分布特性を分析した。

(3)結果概要

 医療費については、一部上位の人々が、全体の大半を使うということは良く知られた事実であるが、要介護認定者に限った本サンプルにおいても、上位10%の人々が約半分、上位20%の人々が約8割の医療費を消費することが確認できる。一方、介護費についてはその集中度はやや低く、上位10%の人々が消費する介護費は全体の3割、上位20%で約半分であることがわかった。医療費・介護費合計では、上位の集中はさらに少なくなり、上位10%の資源消費は25%程度である。

 次に、医療費と介護費の相関関係を調べたところ、全体としては弱いながらも負の相関関係があるが(表1)、それは介護施設入所者や入院患者が大きく影響していることがわかった。施設入所者や入院患者を除いた在宅高齢者についてみると、医療費と介護費の関係は無相関か、若干ながら正の相関となっている(表2)。

 最後に、医療費、介護費の集中度の持続性を分析した。9・10分位の医療費の過去の遡及変化をみると、急激に減少してゆく傾向があるが、介護費については持続性が高く、なかなか平均へ回帰しないことがわかった。逆に9・10分位のその後の追跡変化をみても、同様の傾向が見て取れた。

論文

「レセプトデータを用いた医療費・介護費の分布特性に関する分析」(PDF file/約463KB)

鈴木亘・岩本康志・湯田道生・両角良子
文科省科研費新領域「社会階層と健康」第3回定例研究交流会、2011年5月14日