岩本 康志
@ 財政政策の有効性の評価には,通常の乗数ではなく均衡予算乗数を用いるべきだ。通常の乗数には,持続可能でない政策を前提とし,支出拡大と減税の選択に対して誤った判断を与える,という問題点がある。 A 均衡予算乗数の最大値は「1」であり,財政支出に民間需要拡大効果はない。乗数の低下要因として指摘されている消費性向,輸入性向の変化は,減税乗数を低下させるのであって,均衡予算乗数には影響しない。 B 財政出動の判断で重視すべきは,経済安定化機能よりも資源配分機能である。支出の費用と便益の厳密な吟味が不可欠である。 |