(13140) 社会保障政策

【東京大学公共政策大学院・2005年度・夏学期】

【時間】 月曜・4限(15:00−16:40),水曜・2限(10:20−12:00) 【教室】 月曜・経済学研究科第9教室,水曜・経済学研 究科第8教室 【単位】 4単位

【担当】 公共政策大学院・教授 岩本 康志 【オフィスアワー】 月曜・12時30分−13時30分。変更される場合がありますので,こち ら で確認してください。


成績をつけました。成績を知りたい受講生はメールで問い合わせてください。(2005年9月1日)

成績評価の詳細(2005年9月1日)

 試験受験者10名について,A・3名,B・6名,C・1名となりました。評価基準は大学院レベルでの標準的な履修レベルをBとして,Aを約30%以内に するとする公共政策大学院の規定にしたがい,成績上位者3名をAにしました。各項目の評価方法は以下の通りです。
・平常点(10点) 10点・2名,8点・8名。授業での発言を加味しました。出席回数を加味できなかったことが今後の課題です。学生証がICカード化さ れていますので,教室の入口にカード読取器を設置すれば,出欠管理ができるので,そのように希望を出しています。しかし,第8教室への新規の設備投資はな かなか認められないという事情があり,実現可能性は不透明です。
・レポート第1回(20点) 16点・10名。それぞれ力作であることと,課題がそれぞれ違うため,相対的な差をつけるのは困難でした。一律の評価にしま す。
・筆記試験(50点) 各問題をA(非常に優秀な答案),B(優れたところがある答案),C(標準的か少し難のある答案),D(難点の多い答案,誤答・無 回答)で4段階評価して,GPAを計算します。3以上・4名,2台・4名,1台・1名。その後,40+10GPAで100点評価に換算します。筆記試験の 出来が,最終的な成績の分布に反映されたようです。
・レポート第2回(20点) 「国民医療費と給付費の違いについてどれだけ注意深いか」,「推計におかしな点はないか」,「簡潔・要領よく掛けている か」,「推計手順の説明はわかりやすいか」,「しっかりした考察をしているか」の5つの評価項目をA〜Dで4段階評価して,GPAを計算します。3以上・ 8名,2台・2名。その後,100点評価に換算します。
・総合点 以上を単純合計した後,相対評価でA〜Cに配点しました。

レポート第2回課題(2005年6月30日)

 以下に示された手順にならって,医療に対する社会保障給付費について,厚生労働省による推計(『社会保障の給付と負担の見通し』)を代替する推計を 2050年までおこないなさい。
 年齢階層別医療費のデータを『国民医療費』から,将来人口のデータを『日本の将来推計人口』から得る(いずれもホームページよりダウンロード可)。
 医療の技術進歩(各年齢階層での1人当たり医療費の伸び)を賃金上昇率と同じ伸び,0.5%高い伸び,1%高い伸びとした3ケースを考え,人口構成の変 化を加味して,将来の給付費を推計する。また,対GDP比の数値も同時に示すこと。
 レポートは以下の内容を含んで,構成すること。
  グラフ(総給付費と対GDP比について)
  原数値を示した表(総給付費と対GDP比について)
  特徴についての簡潔な解説(A4判で2枚以内)
  推計手順についての説明(A4判で3枚以内)
  Excelで作業をおこなった場合は,作業したExcelファイルを同時に提出すること

【提出方法】
 8月10日(水)午後5時までに,文書(PDF ファイル)とExcelファイルをメールで岩本まで提出するか,文書は印刷,Excelファイルはフロッピーで研究室まで持参すること。

【推計にあたっての注意事項】
 『国民医療費』の医療費データは,『社会保障の給付と負担の見通し』とは概念が合致しないので,何らかの調整が必要である。注意深く取り扱うこと。
 賃金上昇率が0%,物価上昇率が0%のときのGDPの将来予測値は,こちら(Excel ファイル)からダウンロードしたものを使用してよい。ただし,独自の将来予測をおこなうことを妨げるものではない。
 経済に関する前提を置く必要がある場合には,『社会保障の給付と負担の見通し』,『年金財政再計算』または『改革と展望』の前提にあわせること。

【レポート課題の進め方に関する注意事項】
 今回の課題はグループではなく,個人で取り組んだ成果を見る。作業は基本的に学生個人でおこなうものであるが,データの所在を確認して,ダウンロードす るところまでは受講生間で相談して進めることを認める。


授業の予定(2005年7月4日)

内容
備考
4/6(水) オリエンテーション 配付資料(PDF file

4/11(月) オリエンテーション(第1回と同一内容)
配付資料(PDF file

 休講
4/13(水)
休講



4/18(月)
福祉国家と社会保障の機能
配付資料(PDF file
堀・第1〜3章を事前に読んでおくこと

4/20(水)
制度と統計
配付資料(PDF file
小塩・第2章を事前に読んでおくこと

4/25(月)
年金(1)温情主義
配付資料(PDF file
小塩・第5章を事前に読んでおくこと

4/27(水)
年金(2)生活保護のモラルハザード
配付資料(PDF file
小塩・第5章

5/2(月)
年金(3)保険の基礎
配付資料(PDF file

 休日
5/4(水)
 国民の休日



5/9(月)
年金(4)保険の基礎(続き)
配付資料(PDF file


5/11(水)
年金(5)逆選択
配付資料(PDF file
小塩・第5章


レポート(第1回)課題
課題(PDF file

10
5/16(月)
年金(6)財政方式
配付資料(PDF file
小塩・第6章を事前に読んでおくこと
11
5/18(水)
年金(7)財政方式(続き)
配付資料(PDF file
小塩・第6章
12
5/23(月)
年金(8)積立方式への移行
配付資料(PDF file
堀・第4,5章,小塩・第3章を事前に読んでおくこと
13
5/25(水)
その他社会保障(1):社会保険の負担
配付資料(PDF file

14
5/30(月)
その他社会保障(2):所得保障と消費保険


15
6/1(水)
医療(1):健康資本と医療費
配付資料(PDF file
堀・第6章を事前に読んでおくこと(その他,小塩・第11・12章,
 Sherman他第4・5・6章を6月15日までに目を通すと参考になる)
16
6/6(月)
レポート発表会(1)


17
6/8(水)
レポート発表会(2)


18
6/13(月)
医療(2):健康資本と医療費(続き)


19
6/15(水)
医療(3):健康資本と医療費(続き)


20
6/20(月)
医療(4):医療保険のモラルハザード
配付資料(PDF file

21
6/22(水)
宮島洋氏の講演(公共経済政策ワークショップと共催)


22
6/27(月)
医療(5):医師誘発需要

(Sherman他第10章に目を通すと参考になる)
23
6/29(水)
医療(6):医療費と国民負担率


24
7/4(月)
福祉(1):児童福祉


25
7/6(水)
福祉(2):介護

堀・第8章を事前に読んでおくこと
26
7/11(月)
福祉(3):社会福祉

堀・第9章を事前に読んでおくこと

7/13(水)
最終試験(予定)




講義要綱(2005年4月11日)

【内容・進め方・主要文献等】
 憲法にもとづき生存権を保障することを目的とした社会保障政策について,制度設計の考え方,社会保障政策の経済活動・国民生活への影響を中心にして講義 する。
保健・医療・年金・介護・福祉の各分野における最近の政策課題を的確に理解し,問題解決のための制度設計をおこなう能力の養成を目指す。講義の進行はおお むね以下の通りである。
1.総論
 福祉国家と社会保障の機能,制度と統計
2.所得保障(社会保険)
 年金,疾病,労災,失業
3.公的扶助
4.基礎的サービス
 医療・介護,育児,福祉
5.世代間公平と制度設計

【教材等】
教科書
堀勝洋編『社会保障読本(第3版)』,東洋経済新報社
参考書
岩村正彦・菊池馨実編『目で見る社会保障法教材(第3版)』,有斐閣
小塩隆士『社会保障の経済学(第2版)』,日本評論社
Sherman Folland, Allen C. Goodman, and Miron Stano, The Economics of Health and Health Care, Prentice Hall

【成績評価の方法】
期末試験(45%),レポート(3回,各15%),授業で の発表・平常点(10%)で評価する